3月8日(土)から9日(日)の2日間、地球のしごとゼミのフィールドワークin諏訪&松本に参加してきました。今回は総勢16名と参加者が多く、さまざまな仕事をされている参加者同士の会話もはずみ、賑やかなワークでした。
今回訪問したのは、長野県諏訪市でリユース品を収集・販売する「リビルディングセンタージャパン(以下リビセン)」、古本屋「言事堂(ことことどう)」、松本市で林業を営む「柳沢林業」の3者。講師の方はいずれも女性という貴重なワークでした。
私は特に、解体される民家や建物から家財や木材を引き取り、リユース品として販売しているリビセンの事業に興味がありました。というのも、増え続ける空き家を利活用できない理由の一つに、空き家になった家に残された家財の処分が困難な点があるからです。処分業者に頼むと高額の費用がかかりますし、自ら片付ける時間もない。そもそも空き家に帰らないし、考えることすら面倒くさい。そんな空き家の持ち主の方にはリビセンの取り組みを知ってほしいと思い、まずは私が理解を深めようと、今回のワークに参加しました。
リビセンをはじめ3者の事業内容は以下を参照いただくとして、ここでは参加した感想を述べたいと思います。
https://college.chikyunoshigoto.com/events/80579216c602
<リビセン>
上諏訪駅から歩いて約5分。リビセンのショップに到着すると、11時の開店前にもかかわらず、多くのお客さまが待っていました。リビセンの店舗は3階建てのビルですが、道路をはさんだ向かいの広場にもさまざまなリユース品や素材が並べられており、見るだけで楽しく、あっという間に時間が過ぎていきました。
リビセンの見学で驚いたのが品揃えです。日用品はもちろん、何に使えるかわからない材木や素材が大量に置かれていて圧倒されました。もしリビセンがこれらをレスキュー(この表現も素晴らしい)しなければこの世から消滅していたと考えると、地球環境への影響はもちろん、よくぞ救い出してくれたと素直に思いました。多様なリユース品も見るうちに、これらはどんな人に使われていたんだろうと、つい想像してしまいます。これも、新品にはないリユース品の魅力だと感じました。
リビセンのショップを訪問した後は、リビセン取締役の東野華南子さんに案内され、リビセンがリノベーションを担当した近隣の店舗を幾つか見学しました。花屋、雑貨店、古本屋などを巡った後に、一棟をまるごとリノベした長屋に到着。ここで、先ほど見学した古本屋「言事堂」店主、宮城未来さんの話を聞きました。
<言事堂>
店主の宮城さんは、もともと沖縄で古本屋を営んでいました。インスタを見ていたら、たまたまリビセンが古本屋になってくれる人を探しているという情報が目に入り問い合わせをしたことが、諏訪へ移住するきっかけになったそうです。移住の決め手の一つが、諏訪地方の湿気の少なさだったという点に、古本への愛着が深い古本屋さんらしさを感じました。また、古本屋に適した立地条件が、トラックが店の前に停められること、日が当たらない北向きであることも初めて知り、とても興味深かったです。
宮城さんの話の中で私が驚いたのは、ネットからの注文が売上の一定程度を占めており、海外からもネットを通じて注文が来ることです。2023年の開店後は、地元住民のニーズに合うよう古本の品揃えを進めたそうですが、古本を仕入れる方法、郷土史の本が高く売れることなど、古本屋のビジネスモデルの一端を理解できました。また、リビセンを訪れた観光客が古本屋にも流れてくるそうで、リビセンが手掛けるまちづくりの効果を実感できました。実際に諏訪地方には古本屋がなく、地元住民にとっては待望の開店だったようです。宮城さんの話を聞きながら、「古本屋って実は面白いかも」と、つい思ってしまいました。
<柳沢林業>
松本市に移動したワーク2日目は、林業を柱に多様な事業を展開している柳沢林業社長の原薫さんの講義を聞きました。うっかりスマホを車の中に忘れて写真を撮影できなかったので、ここでは感想のみ記します。
柳沢林業は、「山の恵みを生かしきる新林業会社」というコンセプトを掲げる林業会社です。木材を売るだけでは事業として成立しないため、本業である林業(原さんは「木こり」という表現を使っていて印象的でした)を起点に、薪の製造販売、特殊伐採、庭造り、キャンプ場経営、まちなかの緑化など多角的に事業を展開しています。この他にも日本酒を作ったり、なんと馬搬の馬まで飼っています。ただし、やみくもに事業を多角化しているわけではなく、その根底には、人も自然(じねん)の一部であることを多くの人に知ってほしいという強い思いがありました。原さんの話を聞きながら、山の豊かさを見直さなければいけないと私も思いました。
柳沢林業の事業の中で特に可能性を感じたのが、「木質空間プロデュース」です。木材の魅力を活かした室内レイアウトは利益率が高く、高級ホテルなどでも採用されているとか。木材のレイアウト次第ではデザイン性が生まれるので、ここに大きな価値が生まれると思いました。また、まちなか緑化事業にも、木材を親しんでもらう上で効果が高いと感じました。松本城の入口付近に置かれた木のベンチ(オブジェ)も見学しましたが、かなり目立っていて観光客の目を引いていました。
あとは、材木屋が減少しすぎて木材に関するオファーが柳沢林業に集まってくるという話も興味深かったです。競争相手が減ったことで逆に優位性が生まれることにも可能性を感じました。
<まとめ>
ということで今回のワークでは、リユース品の販売、古本屋、林業の3業態の代表から話を聞きました。いずれもオワコンの業態という先入観がありましたが、話を聞けば聞くほどに未来への可能性を感じました。過去の仕事に「ひとひねり」加えることで、世の中の価値観の変化に柔軟に対応できるという学びが得られたワークでした。
最後に、今回宿泊した松本市内の木造旅館「まるも旅館」も、とても素敵な宿でした。ランチでも地元食材を使った食事を堪能でき、ツアーとしても満足度が高かったです。田中さん、豊田さん、参加者の皆さま、どうもありがとうございました。(以上)
松本市内のまるも旅館
2025/03/13 13:55