先日の読書会を終えて数日が経ちましたが、今僕の中に特に立ち上がっている一つのテーマは「できるだけ歩いてみること」です。

この言葉は、「忘れられた日本人」の著書であり、民俗学者の宮本常一が大事にしている考え方でもあります。

宮本常一は山口県に生まれ、15歳で大阪に出る時に父親から以下の10ヶ条を渡されたそうで、その中の(4)がベースになっているのだとか。

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読書会の課題図書「こどもを野に放て」の中には、YAMAP春山さんを中心に以下のような言及がありました。

・時折、山を歩きながら考えるのですが、AIを搭載した最先端のの二足歩行ロボットを作ったとして、私たちのように山を歩けるのだろうか、と。多分歩けないんだと思うんです。

・私たちが山を歩いている時、「ここの岩は滑るかな」とか「ここに足を乗せて大丈夫かな」ということを瞬時に判断しながら一歩一歩、歩いています。よく、山を歩いていると無心になると言いますが、あれは頭を使っていないのではなくて、ものすごく高度な情報処理を脳を含めた全身で行なっている。なので、他のことを考える余裕がなくなる。つまり無心にならざるを得ないんです。

・山を歩くという営みは、現在においても最先端の身体的行為。自然の中では、全身で感じ、考えないと歩くことが危ない。

・これからさらに機械化やテクノロジーが進んでいったとき、自分の足で歩くことの気持ちよさがあらためて見直されるのではないかと思います。また、歩くことは思考を深める上でも大切な行為です。

現代はさまざまな「〇〇時代」で表されます。

中でも個人的に特に好きで、言い得て妙だなと思うのが「座りすぎ時代」という切り口。


座りすぎの問題点は以下のようなものです。

身体的健康への影響

・肥満、糖尿病、がん(特に大腸がんと乳がん)、脳血管疾患、心臓病のリスク増加
筋肉の代謝や血行の低下

・認知機能の低下(特に高齢者)

寿命への影響

1日8時間以上座っている人は、3時間未満の人と比べて死亡リスクが1.2倍に増加

メンタルヘルスへの影響

1日12時間以上座っている人は、6時間未満の人と比べてメンタルヘルスが悪い人が3倍多い

生産性への影響

長時間座り続けることで疲労感が蓄積され、生産性が低下する

身体機能への影響

下半身の筋肉(全体の約70%)が動かないことによる筋肉量の低下と血流の低下

参照:



以上のような悪影響は実は身に覚えがありまして、昨年11月に地球のしごとゼミで島根フィールドワークがあったのですが、行きだけ試しに新宿のバスタから出雲まで高速バスで行ってみたんです。

経験がしたくて。

結果としては、めちゃくちゃ体調が悪くなり、フィールドワーク中は終始体調が悪かったのですが、高速バスは、横になれるとはいえ、同じ姿勢を長時間強いられるため血流が悪くなっていることを切に感じましたし、メンタルも結構やられてました。

普段ここまで悪い影響を感じるまでに座り続けることはしないため、座っていることについて軽視しがちですが、きっとじわじわ悪影響が積み重なっているのではないかと思ったり。

思うに、座ること自体が悪いわけではなく、長時間座り続けることが問題。

日本人は世界で最も座っている時間が長いという研究結果もありました。

そんなわけでこの状況についてのアクションとして、冒頭のテーマが立ち上がってきているわけです。

できるだけ歩いてみること

以前から、頭にはあったのですが読書会を通じて、より具体的に試行錯誤していこうという気になりました。

歩けば、歩く速度でしか気づけない事柄に遭遇できる上に、身体的な面においても好影響。

日常的な歩く量を今以上に増やすのはもちろんそうなのですが、歩く場所や、歩き方のバリエーションも増やしていきたい。

取り急ぎ、読書会後から毎日スマートウォッチで計測している歩数を確認し、毎日書いている日記に記録することを習慣にしました。

ちなみに、この間奈良県吉野まで山の視察にいってきたのですが、その時は「14,268歩」歩いていました。

こうして数えるだけでも「歩くこと」について自覚的になれますし、自覚的になっているからこそ「ここは歩いていこう」みたいな判断をしやすい感じがしています。

とりあえず、今回書きたかったことはこんなところです。