【タイトル】

【無料体験講座】
農山漁村の民衆精神 ~仕事観・労働観~(基礎編)

※応用編は2023年度の教養学部の講座として予定しています

【テーマ】

思想哲学

【概要】

人生の長い時間を費やす仕事や労働。仕事や労働の在りようは、その人間の幸福度に密接に関わります。

我々は、仕事や労働とは何か?について考えたことがあるでしょうか?稼ぐため、生活していくためだけに、仕事や労働を強いられている面はないでしょうか?

経済第一優先の労働観を越えるためのヒントは、内山氏の語る「温かい貨幣と冷たい貨幣」「劣化する貨幣」などにあるかもしれません。

日本の農山漁村での仕事や労働に対する考え方、価値観を紐解きつつ、貨幣とは何なのか?日本の民衆が持っていた仕事観・労働観、そして対価としての金銭との関係性とはどのようなものか?

「おすそ分け」 の贈与経済から、近年注目されているソーシャルビジネスまで、私たちが未来に求めるべき仕事の在りようについて考えます。

<講座レジュメ>


1. はじめに
―共同体とともにある仕事か、個人のための仕事か
―伝統社会から近代社会への転換

2. 共同体とは何か
―多層的共同体と共同体社会
―小さな共同体の集積という視点
―自然と生者と死者と神仏の結び合いが生みだす社会
―自分たちはどんな世界のなかで暮らしているのかという世界観の共有

3. 私の村、群馬県上野村でいま模索していること
―自然、生者、死者、神仏と結ばれて暮らす労働の系の再確立
―森林労働、製材、木工、ペレット生産、ペレットを利用した暖房・温泉・農業・
発電、楢の木はオガクズ化、オガクズを利用したキノコ生産、キノコの加工品づ
くり、木の一部はチップ化しイノブタの「敷き藁」化、この敷き藁を回収し、家
庭からの生ゴミとともに堆肥化、美しい自然と結び合う村の雰囲気を資源とする
観光、
―持続可能な労働の系づくり

4. 共同体とともにある労働とは何か
―上野村における仕事と稼ぎ
―共同体のなかに役割としての仕事、収入を目的とした稼ぎ
―仕事は共同体とともにあり、稼ぎは個人とともにある
―しかし村という共同体を維持していくためには稼ぎも否定しない

5. 共同体なき時代の労働について
―自己実現、自分の利益、企業の利益、国家の利益
―それは社会的役割のみえない労働の世界をつくりだした
―その虚しさが今日では共同体やソーシャル・ビジネスへの関心を高めている

6. 労働と自然、生者、死者、神仏との結びつき
―宗教Religion、信仰Beliefは明治の翻訳語
―明治以前の日本の民衆の世界には、宗教も信仰も存在しなかった
―結び合う世界の尊重、その結び合いを守ってくれている神仏
―背後にある自然の世界が労働を支え、人々の結びつきが労働を支えている。さら
に死者=亡くなった先輩たちがいまの労働の基盤をつくり、その全体を神仏が守っている・・というとらえ方

7. まとめに代えて
―新しい社会のヒントを伝統から学び取るために

【スケジュール概要】

・6月18日(土)
14:00〜14:15 地球のしごと大學代表高浜大介より
14:15〜15:15 講義(内山節氏)
15:15〜15:35 質疑応答タイム
15:35〜15:45 休憩
15:45〜16:25 地球のしごと教養学部22-23のご案内・コミュニティOPENについて
16:30 終了

【講師】
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内山節 / 哲学者

立教大学大学院21世紀社会デザイン研究科教授(2015年定年にて退任)。
特定非営利活動法人森づくりフォーラム代表理事。

1950年、東京生まれ。1970年代から東京と群馬県上野村の二地域を往復する生活を営み、自ら畑を耕し、里山に囲まれた農村の暮らしを通して、自然と労働の思想を問い続ける実践的な哲学者として知られている。

自然論・労働論・共同体論などを専門とし、立教大学大学院教授、東京大学講師などを歴任。東北農家の会、九州農家の会などでも講師を務める。

主な著書に「ローカリズム原論」「文明の災禍」「共同体基礎理論」「清浄なる精神」「里という思想」「自然と労働」「日本人はなぜキツネにだまされなくなったのか」などがある。