【タイトル】
【無料体験講座】
流域経済圏と水資源 〜命の源流のマネジメント〜(基礎編)
【テーマ】
流域経済圏
【講座概要/狙い】
人間の暮らし全てに共通して不可欠な要素、それは「水」です。
水と人との関わりは、飲み水にはじまり、炊事、洗濯、風呂、トイレなどの生活の水、さらには農業、工業などの生産の水などの恩恵を受けるという面、豪雨などの脅威から自分を守るといった面があります。
日本列島は四方を海に囲まれ、脊梁山脈にぶつかった雲から世界平均の2倍の雨が降ります。急峻な山が多いため水は素早く大地を駆け海に到達します。それは重力エネルギーに恵まれているということでもあります。自然は多様性に富み、流域ごとに生まれた文化もまた多様です。
人間と他の生き物との違いは道具(インフラ)によって水の動きを変えたことです。農耕が盛んになると、それまでは水を得るために水辺まで移動していた人間が、反対に自分たちの方へ水を引き寄せました。蒸気機関が発明されると、ポンプでの揚水や導水が可能になり、水を低いところから高いところへ動かすことも可能になりました。同時に浄水方法も進化し、エネルギー使用量は増え、水を使うにはエネルギーが必要で、エネルギーをつくるには水が必要という時代が始まりました。
これが地球温暖化につながり、気温の上昇は水の動きを変えました。人間が大量の資源、水を使って生産活動を行い、浪費と廃棄を繰り返し、水を汚しました。このプロセスのなかで温室効果ガスを発生させ、地球の気温が上昇しました。地球温暖化で地球の平均気温が上がると、水のすがたや動き方が変わります。蒸発する水の量、空気や地面にふくまれる水の量、雨や雪の降り方が変わるという気候変動につながります。
成長が前提の資本主義経済において、欲望は経済活性化の原動力でした。しかし、欲望は地球環境を変え、人間の暮らしは困難になっています。
多くの人は意識していないが、誰もがどこかの流域に所属しています。人間の暮らしは所属流域の水とともにありました。気候変動によって水の動きが変われば、利水、治水、食料生産、エネルギー政策などに影響が出ます。また、グローバルサプライチェーンの末端にある私たちの生活は、世界各地で作られた食料、製品を大量に消費し廃棄しています。
忘れられた流域という概念を再度意識し、流域の水や資源の循環を意識する社会を考えてみましょう。気候変動を加速させる要因に分断がある。消費者と生産者、都市と地方、人間と自然の分断が進んだことにより、顕在化している気候変動が見えなくなっています。バリューチェーンの分断により気候変動の拡大に加担してしまう場合もあります。流域内で生産者と消費者をつなぐ仕組みが構築できれば、分断を越えることができるでしょう。
新しい社会を水の動きから考えます。本講座では人間に必要な水資源の循環にフォーカスし、流域経済圏(*)や、地球規模で枯渇を始めている地下水に関しての知識や資源管理のリスクについて学びます。
生命の源となる水循環を起点に、流域単位で経済と環境保全の両立を図る水資源の扱い方を考え、議論します。
*流域経済圏とは、分水嶺から沿岸までの河川の流域圏における経済的なつながりの単位を表す。場合によっては複数の行政区域にまたがる。
本来、一つの流域圏は、上流の山村から下流の漁 村まで相互に連関しあい、社会、経済的に強いきずなを保有する。古来より人類は大きな河川を中 心に集落を形成してきたことからも流域経済圏の考え方はとても重要です。
環境循環型社会は流域経済圏内での循環からスタートすべきだと考えています。
【スケジュール概要】
・7月3日(土)
14:00〜14:15 地球のしごと大學代表高浜大介より
14:15〜15:15 講義(橋本淳司氏)
15:15〜15:35 質疑応答タイム
15:35〜15:45 休憩
15:45〜16:25 地球のしごと教養学部22-23のご案内・コミュニティOPENについて
16:30 終了
【講師】
橋本淳司 / アクアスフィア・水教育研究所代表
武蔵野大学客員教授 / NPO法人 地域水道支援センター理事
1967年、群馬県生まれ。学習院大学卒業。
水ジャーナリストとして水問題やその解決方法を調査、さまざまなメディアで発信している。水問題に関する近著に『水道民営化で水はどうなる』(岩波書店)、『水がなくなる日』(産業編集センター)、『通読できてよくわかる水の科学』(ベレ出版)、『日本の地下水が危ない』(幻冬舎新書)など。「Yahoo!ニュース 個人 オーサーアワード2019」受賞。
アクアスフィアでは、中国での節水教育担当者育成プロジェクト、インドでの雨水活用コミュニティーづくりなど、国内外で地域の水問題を解決するためのファシリテーター、チームビルディングのためのコーディネーターを行う。文部科学省指定のスーパーグローバルハイスクール、ワールド・ワード・ラーニングコンソーシアム拠点校において、探究学習や「主体的・対話的で深い学び」を実現するためのカリキュラムと教材を作成し、授業をプロデュースするとともに、自らも授業を行っている。
教育に関する近著に『対話して行動するチームのつくり方 楽しみながら身につく話し合いの技法』(三省堂)がある。