【タイトル】

#12 民藝・工芸の未来    ~南部箒    自然のサイクルの中で育む伝統工芸~

【テーマ】

民芸工芸

【講座概要/狙い】

ローカルなものにスポットが当たる昨今、中でもその価値の見直しやアップデートが行われているのが民藝・工芸の世界です。

今回訪問する高倉工芸は、農業の閑散期の副収入源であった箒作りを、先代・高倉徳三郎が九戸の文化・伝承を後世に引き継いでいくために産業として確立したことで始まりました。

高倉工芸が生み出す南部箒の最大の特徴は、九戸村の冷涼な気候と、海から吹く山背(やませ)によって生まれる「ホウキモロコシ(箒の原料)」の強い縮れです。この縮れによって、埃やゴミを舞い上げずにゴミを絡め取ります。絨毯など使用環境によっては、サイクロン式掃除機などよりも、キレイに掃き出すことが可能だと言います。

南部箒の製造過程にも、我々は自然と共生しているのだという考え方が現れています。
ホウキモロコシの生育は山のふもとで行われるため、山の木々や水、土壌の健全性がバランスよく保たれている必要があります。
また南部箒の原材料は箒を縛る糸に至るまで、農薬や化学肥料不使用なため、箒自体をすべて土に還すことができることも特徴です。
苗付けから収穫、乾燥、編み上げまで丁寧に手作業で仕上げ、そして役目を終えた箒の行く末まで自然の循環に則っている、まさに自然と共に作る芸術品です。

高倉工芸の技を通じて、自然と人間の上手な付き合い方を学びます。

【スケジュール概要】

・11月6日(日)10:00~12:00(仮)
岩手遠征3日目の講座になります。終了後、解散となります。

【講師】

高倉清勝さん.jpg 169.69 KB

高倉清勝/有限会社高倉工芸    代表取締役

江戸時代から代々続く農家の長男として、1964年に岩手県九戸村で生まれる。
岩手県立農業大学校卒業後、1993年に材料の栽培・和箒の製作・全国販売を一貫して行う有限会社高倉工芸を設立する。安全・安心な箒作りを目指していて、自然栽培に少しでも近づけるため農薬不使用で栽培、さらに草木染の糸で編んだ箒を製造するなど、人にも自然にも優しいこだわりの箒を作っている。また、ロンドンやパリでのイベントにも積極的に参加し、海外にも日本の箒の素晴らしさを伝えている。

・有限会社高倉工芸
「伝統の技と文化は継承していかないと消えてしまう」と危惧した先代社長の高倉徳三郎が、農閑期の副収入源であった箒を一産業にするため、箒づくりを学んだのが高倉工芸の始まりである。長男である高倉清勝もその思いや活動に賛同し、1993年に親子で有限会社高倉工芸を設立する。
高倉工芸が作る箒の特徴は、穂先の強いちぢれにある。このちぢれにより畳、フローリングはもちろん絨毯に付いた髪の毛、ペットの毛、細かなゴミまで綺麗に掃き出すことができ、20年以上使用している人も多い。

【予習会日時・課題図書】

オンライン予習会:10月31日(月)19:30〜21:30(岩手遠征全体の予習会をします)

・課題図書なし

【参考サイト】

南部箒|岩手県九戸村 高倉工芸